エド&リーのブログ

未亡人に憧れるゴーストライター。深海魚のような仲間を探しています。結論の出ない話多めです。

【絵本紹介】もうぜったいうさちゃんってよばないで

もうぜったいうさちゃんってよばないで

作・絵:グレゴアール・ソロタレフ

訳:末松氷海子

出版社:佑学社

過去にも紹介しているが、私はほぼ毎晩子どもたちが夜寝る前に絵本を一冊読んでいる。

子どものためというよりは、もはや自分のためというか、自分の趣味で読んでいるところがある。子どもを寝かしつける時間は、もう21時半とかで私の体力ももう5~10%くらいしか残っていないのだが、よほど自分の機嫌が悪い日や疲れている日以外は読んでいる。

で、最近は毎週行くところがあるのでそのついでに図書館にも毎週寄れるので、以前にもましてよく絵本を借りるようになった。娘が妖怪系というかなんかそういうちょっと不思議な話系の本にハマりだしたので、娘が読みそうな本を選んでくるというミッションも増えた。

グレゴアール・ソロタレフさんのこと

そして今回ご紹介するのは、最近読んだ絵本の中でも特に気に入っている絵本、G・ソロタレフさんの「もうぜったいうさちゃんってよばないで」である。

先に説明しておくと、作者の、G・ソロタレフさんは、もともとはお医者さんで、自分の子どもに絵本を作ったことがきっかけでお医者さんをやめて創作活動に専念するようになったそうだ。2013年には群馬県立近代美術館で展覧会も開かれており、当時知らなかったことが大変悔やまれる。

多分ちょいちょいこのブログにも書いているが、私は自分や娘がお世話になった経緯もあり、お医者さんに憧れている(というかお世話になった先生方が好き)。生まれ変わったら絶対外科医になりたいと思っている。

G・ソロタレフさんが何かのお医者さんだったのかは知らないが、お医者さんからボローニャ国際児童図書展(1993年)でグラフィック賞をとるほどの作家さんになるなんて、私にとっては素敵すぎる人生である。ちなみにG・ソロタレフさんはお父さんがお医者さんでお母さんが画家だったらしい。見事なハイブリットである。

ちょっぴりブッ飛んでるけどかわいいお話

そして本題。ちょっとネタバレも入るが許してほしい。

このお話は、「ジャン・ニンジンスキー」という子うさぎの話である。彼は自分に立派な(?)名前があるにも関わらずまだ子うさぎで体も小さいのでいつも「うさちゃん」と呼ばれていて、そのことに不満を持っていた。

彼は「うさちゃん」と呼ばれないためにどうすればいいかを考える。おじいちゃんに相談したりもしたけど、だめだった。ところが、ある時思いついたのが、「ものすごい『わる』のうさぎになる」ということだった。

そして彼は、ある日、ついに銀行強盗を実行するのである。このへんのちょっぴりブッ飛んでいる展開がロックな感じがして好きだ。

しかし結果的に彼は刑務所に入れられることになる。

絵本の世界なのに刑務所が出てくるところもこれまた私の心の奥深い何かをくすぐるものがある。

しかし彼は、刑務所の中で同じく服役中の「ジム・サラダーナ」という子ウサギに出会う。そいつはジャンより体が小さいのだが、人殺しをして刑務所に入っていた。このへんも絵本なのにブッ飛んでて好きだ。

そして、意気投合した彼らは脱獄を試みる。ちなみにこの脱獄時の絵は子どもたちに大ウケした。とくに娘が「どういう状態~」と突っ込んでいた。

刑務所から脱走した2匹は、山の中に逃げた。おじいさんが高い山に穴を作ってくれて、そこに食料などを届けてくれて、かくまってくれたのだ。そして2匹はそれから長い時間を共に過ごすことになる。「2ひきの こうさぎ だいだっそう」という見出しが書かれた新聞を笑って読みながら。

絵本にしては少々シュールだが、めっちゃいい話である。「かえるくんとがまくん」とかもそうなんだけど、私はこういう多くを語らずとも分かり合えるような仲間系の絵本が好きだなと思う。多分それは自分がそういう関係性を人に求めているからだと思う。この本のほかにも気に入ってつい買ってしまった絵本があるので、それもまたご紹介したい。

G・ソロタレフさんの絵は独特な特徴がありかわいいので、読んだことのないという方には是非一度読んでいただきたい。

www.ehonnavi.net