「1ヶ月ぶりですね」
診察室のドアが閉まりきる前に彼は言った。マスクをしているが、彼が今柔らかな笑顔であることはすぐにわかった。
「そう…ですね…」
私は少し照れたような表情で答えた。
「あぁ…これは…また、ですね…」
「そう…なんです…」
「この間は右足でしたよね…」
「そう…なんです…これって…」
「なる時はなぜか結構なるんですよね…」
ただの皮膚科での話である。
みなさん「ひょうそ(ひょう疽)」をご存知だろうか。
たまにささくれのところとか、指先の傷とかが炎症みたいになって腫れて痛くなるアレ。
ちょうど1ヶ月ほど前、ある日突然息子の足の親指がその「ひょうそ」というやつになり、半日も経たない間にみるみる親指から足首の上まで赤く腫れ、挙句の果てには微熱まで出る事態に…。抗生剤を1週間朝昼晩飲んだら治った。
で、今日またその「ひょうそ」になったのだ。今度は反対側の足。担任の先生からお昼過ぎに電話がかかってきて、
「また足が痛いって言ってて、ちょっと腫れてきてるんですが、これってひょっとしてまた…この間のあれですかね…」
「ですね」
「どうされますか?帰り…」
「大丈夫だと思います。とりあえずそのまま時間までお願いします」
ということで、息子が帰ってきてから皮膚科に行き、偶然前回と同じ曜日だったので同じ若い男の先生に診てもらったのであった。
息子は小学校に入ってから急に足が臭くなり、会社でそんな人がいたら無言で窓を開けるレベルに本気で臭いので、てっきり足が臭い=ばい菌がいっぱい→ひょうそになるのでは?と疑っていたのだが、先生曰くそういうわけでもないらしい。体が弱っているのかなんなのか、なる時は結構なるらしい。何も言ってないのに「これになったからといって足をいつもより頻繁に洗うとかしなくていいです」とまで言われた。私はサトラレ(古い)なのだろうか。
それにしても右足に続き左足もってどうよ?勘弁してよ。なりやすい体質とかだったら嫌だなー。
子どもがいると本当に毎日色んなところから矢が飛んでくる(気がする)。幸い今のところ致命傷にはなっていないが、色んなことがありすぎて気分的には落ち武者である。
なんだよひょうそって…。アレに名前があることすら知らなかったよ。知らずに40年以上生きてきてたよ…。日々是勉強ナリ。