コーヒーレディーはマルドロールを駆け抜けて
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com さよならコーヒーレディー 新居のマンションは8畳くらいのワンルームではあったが、クジくんを呼べるくらいの広さはあり、針中野の家に比べると随分とまともな部屋だった。私が針中野から学校の近くに越してきたというこ…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com 冬は終焉に向かって 季節は冬。季節が変わろうとパチンコ屋に来るお客さんが変わることはない。変わることといえばホットコーヒーの注文が増えることくらい。 平日は大学に行くが、1回生(1年生)は哲学とか英語とか一般…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com ノイズまみれの恋 クジくんがいてもいなくても、コーヒーレディーのバイトは楽しかった。 パチンコ玉を買うカードのところに千円札が落ちてたりとか、ドル箱(パチンコ玉を入れる箱)が倒れて床がパチンコ玉だらけになっ…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com そしてアルバイトはつづく 私は映画には全く詳しくなく、そもそも同じ場所に長時間拘束されることが苦手なので、映画はそんなに見ない方なのだが、イランの名匠と呼ばれる故・アッバス・キアロスタミ監督の映画は好きだ…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com 相反 芸大に入学してまだ数ヶ月。それでも私は、芸術とは、表現とは、常に自由なものであると考えていた。また、それらをつくる人の心も自由であるべきだと。 例えばその人が犯罪者であっても、その人を愛する人がいたり…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com ハヤブサ いまでこそ昨日あったことですらろくずっぽ覚えていない私だが、若いころはかなり記憶力が良かった。 その甲斐あって、パチンコ屋の常連の顔、いつも座る台の位置、コーヒーの好み、客同士の仲良しグループの構…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com 偽りのモテ期 これまでの人生の中で私にモテ期があったとすれば、コーヒーレディーだった頃だろう。ただ、実際には本当のモテ期とはいえない。私がコーヒーレディーだったから、それだけだ。 コーヒーレディーとして働き…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com コーヒーレディーの仕事 コーヒーレディーの仕事は、多分その店によって微妙に違うと思うし、ちゃんとしているところはちゃんとしていると思うが、私が働いていた店は多分あまりちゃんとしてなかった。 まずコーヒー屋と…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com マルドロールの朝 どうせダサい格好で出勤するのであればもう着替えるのも面倒だし、チャリ通だし、あの制服のままでいいのではないかと考えた私は、次の出勤日から自宅から制服でバイトに通うことにした。 奥さんお手製…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com パチンコ屋と在日 コーヒーレディーとしての初出勤日。店には社長と奥さんと先日の面接にいたお姐さん(アライさん)と、太っているけどチャーミングなアオキさんという女性がいた。男性を数名殺人したのちに獄中死した…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com たった一言で 忙しいけどバイトをしないと本当に貧乏学生になってしまう。そして1日でも早くこの11平米の狭すぎる部屋から引っ越したいと考えていた私は、バイトを探していた。 大学に入学したのは2000年。ミレニアム。…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com きっかけとなった男 古着屋で買ったTシャツにユニクロのジーパン、青いハイカットのコンバースに紫色のリュック…腕時計はカシオのデータバンク。当時の私はそんな格好をしていた気がする。全然かわいくないし、今思うと…
前回の話↓ edoandlee.hatenablog.com 芸坂 針中野駅から乗車し、茶色く濁った大和川を超え、古市駅で近鉄長野線に乗り換えると何にもない喜志駅に着く。そこからほんの少し歩いていわゆる「芸バス」に乗る。今は坂の上までバスが上ってくれるそうだが、私が…
狭い部屋、汚い街 大阪市東住吉区。近鉄南大阪線、針中野駅から徒歩14分。チャリならだいたい5分。 私の第二の人生は多分そのあたりから始まった。 朝ゴミを出そうとゴミ捨て場に行ったら、そのゴミ捨て場でホームレスのおじさんがゴミを漁っている。私はそ…