エド&リーのブログ

未亡人に憧れるゴーストライター。深海魚のような仲間を探しています。結論の出ない話多めです。

よく知らない独身男性の部屋を片付けに行った話

私は昔から部屋を片付けるのがわりと好きで、数年前、収納関係の記事を書いていた関係もあり、なんか仕事に活かせるのではないかと思い、整理収納アドバイザー1級という資格を取得した。

ただ、その後そのプロジェクト↓は終わってしまい、ほとんど資格を取った意味はなくなってしまっていた。

edoandlee.hatenablog.com

が、しかし、やっぱりせっかく資格取ったのに何にも活かせないのもな~と思い、暇をみてはライターの募集とかをしているクラウドワークスで「整理収納」とかのキーワードでお金にならなくてもいい仕事を探していた。

異質な募集

だいたい「整理収納」で調べると、まぁ運が良ければ数件整理収納系の記事の募集があるのだが、なかなか応募してみようと思えるものはなかった。がしかし、先日そんな募集の中に異質な募集を見つけた。

「自宅兼職場としてタワーマンションに引越しをするので整理収納のアドバイスが欲しい」

あまり書くと守秘義務的なものに引っ掛かりそうなので詳しくは書けないが、そのような募集があったのだ。

記事を書くのではなく、実際に独身男性の自宅兼職場の片付けのアドバイスをするというものである。報酬額も募集時点では決まっていなかったが、私はなんとなくその募集に何ともいえない何かを感じ、勢いで応募したのだった。私は普段は冷静な方なのだが、たまに直感ですぐに動いてしまうところがあり、今回もまさにそんな感じだった。

すると数日後その募集主である男性から連絡が来た。ひとまずZOOMで話したいということだったので、ZOOMは嫌いだけど応じることにした。

ちょと変わった人

ZOOMの男性は、私よりも10歳も年下の独身男性で、見た目はとにかく明るい安村的な感じの人だった。悪い感じはしないが、個人事業主というか、自営業者独特の勢いみたいなものがある人だった。結構はっきりと意見は述べるものの、話しやすい人だった。

話をきいてみると、引越しを期に部屋も広くなるのでいい感じに生活したい、でも自分の要望も聞いてほしい、「整理収納はこうじゃなきゃダメ!」みたいなのは嫌ということだった。友達みたいな感じにフランクなアドバイスが欲しいとのこと。

あぁ、なんとなく言ってることはわかったという感じだったが、その後、ZOOMで今住んでいる古いほうの部屋を映しながら「ここがこんな感じで~」というのを見せてもらったら、なおさら彼が言いたいことはわかった。

彼が望んでいるのは、雑誌に載っているようなきちんとモノが色々な入れ物に入れられて整理整頓されている状態ではないのだ。もちろんそれなりのすっきり感は欲しいのだが。

例えばコンビニに行くために服を着替えて、帰ってきて家着に着替えるのだが、彼はまたあとでコンビニ行くので、さっき着ていた服をどうせ着るからと床に脱ぎ捨てる習慣がある。でも彼的にもそれはあまりにも見た目的にも良くないので、それをもうちょっとどうにかしたい、みたいな感じなのである。おわかりになるだろうか。

とにかく彼は無駄なアクションを嫌うのだ。洗濯した服も、たたむとかじゃなくて、棚状になっているところに突っ込んでおくだけ、それでいいというのだ。ちゃんとした整理収納アドバイザー的な観点からいうと服をたたみもせずに片付けるというのはあまりいただけないわけだが、依頼者の希望も尊重すべきであり、彼がそれを望むならその意向に沿う形でやってみようと私は思ったのであった。

素敵なタワマン

それから数週間後、私は彼の新居に向かった。よく知らない独身男性の家に身ひとつで行くことに抵抗がないわけではもちろんなかったが、住所も連絡先も知ってるし、クラウドワークスでのこれまでの取引履歴もチェックしてるし、さすがに10歳も年上のおばさんだし、相手がよほど変態じゃないと何もないだろうという気持ちで向かった。

都内某区。電車で乗り換えて1時間もかからない、駅から近い場所にそのタワーマンションはあった。

タワーマンションなるものに入るのは私はその日が初めてだったのだが、まるでホテルのようだった。事前に家賃を聞いていたが、私の自宅の月々のローンの3倍くらいしていた。食洗器がなかったのでそこは私の方が「勝った」と思ったが、それ以外は完敗だった。

引越してから1週間ほど経過した部屋はすでに散らかっていたが、モノはそこまで多くなかった。というか、引越し業者が来るまでに前の家の荷造りが終わらなくて、必要なものだけとりあえず運んできたという。とにかく彼はそういう人だった。

男が全員息子に見える

お互いどんな仕事をしてるのかとか、私の身の上話とか、そういう話なんかもしながら、よく知らないもの同士、あっという間に打ち解けた。

きっと10年前くらいの私だったらこんな状況になることはあり得ないと思った。子供が生まれ、世の中の色々な人と半ば強制的に関わるようになって、気づけば誰とでも喋れるおばさんに私は変わってしまっていた。おそるべしおばさんの力。

彼の望みを聞きながら「じゃあこれはここでいいんじゃないですか?」「じゃあこうしましょう」みたいな感じで部屋を片付けていった。彼も「江戸さぁ~ん、ここどうしよう~」みたいな感じで、もう完全にお姉ちゃんと弟みたいな感じになっていた。

というか、もうなんか、息子がいるせいだとおもうけど、最近は男の人ってみんな息子みたいに見えてしまうのだ。「あ~またか~」「も~なんなの~」みたいな。半分諦めみたいな。仕方ねぇなぁ~みたいな。

味ぽん事件

なんだかんだしているうちにお昼になり、前の家に食器類が残ったままなので取りに行こうという話になり、近所のレストランでお昼をごちそうになって、私たちはタクシーに乗って彼の前の家に向かった。彼はタクシーの中で「この間も友達がマッチングアプリで知り合った子と結婚して、自分も結婚したいっす」みたいなことを話していた。

彼にはすでに私の状況を伝えていたので、私は「やっぱそれくらいの歳になると結婚したいとか思っちゃうんですね~。でもそんないいもんじゃないかもしれませんよ~」みたいなことを言って夢を壊したりしていた。でも結局色々話した結果、今の時代だし、マッチングアプリでもいいんじゃない?やってみたら?みたいな話で落ち着いた。

タクシーで10分程で彼の前の家に着いた。前の家もデザイナーズマンションで素敵だったが、部屋の中はゴミ屋敷さながらの汚さだった。来月半ばまで契約は残っているらしく、それまでにどうにかすると言っていた。もはや部屋が汚すぎるので土足で入っていた。

私たちは目的としていた食器類をダンボールやらカゴやらに入れてゴミ屋敷さながらの部屋を後にしたのだが、なんだかタクシーに乗っているときからちょっといい匂いがしているな~と私は思っていた。そしてタクシーを降りてトランクからダンボールやらをおろした瞬間、私はあることに気づいた。彼の持っているリュックから何か液体が漏れていることに…。

正体は味ぽんだった。そのまま飲めるくらい大のポン酢好きの私にとっては「いい匂い~」で済む話だったが、タクシーのトランクは味ぽんまみれになっていたに違いない。タクシーの運転手のおじいちゃんがめちゃくちゃいい人だっただけに、私も彼もおじいちゃんに悪いことをしてしまったと2人で落胆したのであった。

やってみよう&会ってみよう

そんなこんなで終了時間の16時まで残り1時間くらいになっていたので、私はきびきびと最低限の片づけをし、彼に「こういうのを買った方がいい」みたいなアドバイスをして帰ることとなった。彼は前日徹マンをしていたらしく、もう半分寝かけていた。

文字数が多くなってしまったのでかなり端折って書いたが、本当はもっとびっくりすることとかも色々あって、なんとも楽しい一日だった。

何かでもらったけど使っていないという新品のクロックスの長靴が私の足のサイズにぴったりで、しかも似合うと言われたので、ちゃっかり長靴までもらって帰った。

この日の出来事は私にとってはかなり非日常で、多分一生モノの思い出になりそうな気がした。

もともとは人と話すのとかそんなに好きじゃなかったし、接客業とかバイトでしかしたことなかったし、ましてや知らない人の家に行くとか考えられなかったけど、この10年ぐらいの私の日々の生活が私をここまで変えたんだなと思った。

いつか息子の幼稚園の園長先生が「子育ては薄紙を毎日一枚ずつ重ねていくようなもの」といったことを話していたことがあったが、子供だけではなく、まさに私もそんな感じで薄紙を重ねるように日々変わっているのだなと思ったのだった。

新しいことに挑戦することにはもちろんリスクも伴うのだけれども、なんでもやってみたいことはやってみる、会ってみたいと思った人には会ってみようと思った一日だった。きっと後悔よりも発見することの方が多いのではないだろうか。私はそう思う。

(横浜・東京23区でお部屋のお片付けにお困りの方、ご連絡お待ちしております♪)